「自分でやった方が早い」から脱却する、最初の一歩

「誰かにお願いするより、自分でやった方が早いんじゃない?」

経営者の方の中には、そのように感じたことがある方も多いのではないでしょうか。

誰かに仕事を任せようと思っても、説明する時間が必要だったり、

提出された内容を確認して修正をお願いしたり。

そんなやり取りを何度も繰り返しているうちに

「これなら最初から自分でやった方が早かった」と感じてしまう。

実際にそんな経験をされた方も、少なくないと思います。

ただ、その「自分でやった方が早い」という考え方が、

知らず知らずのうちに経営者ご自身の大切な時間を奪っているとしたら…?

今回は、仕事を人に任せることが難しいと感じる理由と、

無理なく業務を手放していくための考え方についてお伝えしたいと思います。

目次

「自分でやった方が早い」と感じてしまう理由

例えば、日常の家事を思い浮かべてみてください。

普段、自分が当たり前のようにやっている家事を誰かにお願いする時など、意外と説明する項目が多いと感じませんか?

「この道具はここにしまってある」

「使うときはこうしてほしい」

「終わったら、この場所に戻してほしい」

自分にとっては当たり前のことでも、初めてお願いされる人にとっては、知らないことばかり。

これは、仕事も同じです。

例えば、SNSに使う画像制作を人に依頼した場面を想定してみます。

仕上がって提出された画像を見て、

「もう少し余白を広く取ってほしい」

「写真の位置を少しだけ右にしてほしい」

「全体的に、なんとなくイメージと違う」

そんなふうに感じることもあるのではないでしょうか。

お願いした相手が一生懸命作ってくれたものでも、自分の感覚とぴったり一致するとは限りません。

特に、自分自身が強いこだわりを持っている仕事ほど、細かな違いが気になりやすいものです。

その結果、何度も修正のやり取りが発生してしまうことになります。

「ここをもう少しこうしてほしい」

「やっぱりこっちの方がいいかもしれない」

こうした会話を重ねるうちに、

「だったら、自分でやった方が早かった」と思ってしまうのです。

一方で、それほどこだわりのない業務であれば、

多少の違いがあっても気にならず、スムーズに任せられる例も多いものです。

つまり、仕事を任せることが難しい理由の一つには、

【自分のこだわりや判断基準を相手と共有できていないこと】があるのではないでしょうか。

仕事を任せることで生まれる、経営に向き合うための時間

仕事を誰かに任せたからといって、最初からすべてがスムーズに進むとは限りません。

最初は説明が必要ですし、修正をお願いすることもあるでしょう。

ただ、ここで大切なのは、

初回のやり取りだけで任せる/任せないを判断しないことです。

例えば、先ほどの例にも挙げた画像制作を依頼した場面。

1枚目は、細かな修正がいくつも必要だったかもしれません。

でも、2枚目、3枚目とお願いしていくうちに、

相手は少しずつ依頼者の好みやこだわりを理解していきます。

「この方は余白を広めに取るデザインが好きなのだな」

「写真はこの位置に配置した方がいいんだな」

「今回はいつもと少し違うパターンなんだな」

このように、回数を重ねることで、

言葉にしなくても伝わる項目が増えていくことがあります。

もちろん、毎回必ず良くなっていくとは限りません。

それでも、お互いの理解が深まれば、

最初は何度も必要だったやり取りが、少しずつ減っていく可能性は高くなっていきます。

依頼してみても、毎回途中で

「やっぱり自分でやった方が早い」

と仕事を引き戻してしまうと、いつまでたっても自分一人で全ての業務を抱えることになります。

反対に、最初のやり取りを未来への準備段階と考えて、

任せ続けてみることで、少しずつ自分が手を動かさなくても進む仕事は増えていきます。

そして、その先に生まれるのが

【経営者が本来向き合いたい仕事に集中できる時間】です。

これからの事業をどう成長させていくのか。

新しいサービスをどう展開していくのか。

お客様にどんな価値を届けていくのか。

日々の細かな業務に追われていると、こうした未来について考える時間は、どうしても後回しになりがちです。

だからこそ、目の前の業務を誰かに任せることは、単に楽をする目的ではありません。

経営者自身が「経営に真正面から向き合う時間」をつくるための、大切な選択でもあるのです。

 手始めに「こだわりのない小さな業務」から任せてみる

では、実際に仕事を任せるとき、何から始めればよいのでしょうか。

私がおすすめしたいのは、自分がそれほどこだわりを持っていない、小さな業務から任せてみることです。

最初からいきなり大きな業務をお願いすると、互いの認識がずれていたときの軌道修正が大きくなり、確認や説明にかかる手間も増えてしまいます。

だからこそ、まずは小さな業務から試してみると良いでしょう。

一例を挙げると、

・定型的なメールの返信文を作成してもらう

・自分が書いた文章を読みやすく整えてもらう

・資料の体裁を整えてもらう

・決まった情報を整理して一覧にしてもらう

・日々の細かな事務作業をお願いする

こうした業務であれば、比較的お願いしやすいのではないでしょうか。

もちろん、最初に、業務の目的や希望のイメージを伝えることは大切です。

ただ、何もかも完璧に説明しようとする必要はありません。

小さな業務を通してやり取りを重ねながら、お互いの進め方を少しずつ理解していけばよいのです。

ここで大切なことは、すべてを自分と同じやり方にしようとしないことです。

仕事を任せる相手は、自分とは違う経験や考え方を持っています。

だからこそ、自分では思いつかなかった方法や、より効率的な進め方が見つかることもあります。

作業の本当のゴールは、自分とまったく同じ手順で仕事をすることではなく、必要な目的や成果がきちんと達成されることです。

そのことを忘れないでおきましょう。

あなたはこの先、時間をどのように使っていきたいですか?

「自分でやった方が早い」

そう思ったときこそ、一度立ち止まって考えてみてください。

今は自分でやった方が早いかもしれない。

でもそれは、半年後も、1年後も、ずっと自分がやり続ける必要がある仕事でしょうか?

今が楽になるかどうか、だけではなく「これから先の時間」をどう使いたいのか。

その視点を持つことが、仕事を任せられるようになるための第一歩になると考えています。

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