
「仕事を手放した方がいいのは分かっている」
「でも、何から手放したらいいのか分からない」
経営者の方とお話ししていると、こんなお声を頂くことがあります。
特に、一人で事業を始めて、長く自分だけで仕事してきた方ほど、
「これは誰かに任せてもいい?」
「でも、ここは自分がやった方がいい気もする」
と、その境界線が分からなくなっていることがあります。
そう感じるのも、当然だと思います。
最初から役割分担があった訳ではなく、事業をつくっていく中で、
必要になったお仕事を、その都度、一つずつ着実にやってきたからこそのお悩みです。
だから私は、経営者の方と一緒に業務を整理するとき、
「まず仕事を3つに分けて考えてみましょう」
とお伝えしています。
今回は、業務の分類方法、そして実際に手放す際の判断基準についてお伝えします。
① 経営者にしかできない仕事
まず一つ目は、経営者ご自身が持っておいた方がいい仕事です。
具体的には、以下のような業務が挙げられます。
| ・事業の方向性を決める商品やサービスを考える ・重要な意思決定をする ・会社として何を大切にするかを決める ・社外の大切な人との関係をつくる |
私が思う、経営者の大切な役割の一つは
「会社をこれからどこへ進めていくのかを考え、決めること」です。
| ・どんな商品をつくるのか ・誰に届けるのか ・どんな会社にしていくのか ・誰と一緒に仕事をしていくのか ・いつ、どこへ足を運んで、人と出会い、会社やサービスを知ってもらおうか |
こういったことを考え、行動に移し事業が広がることで、その先に新しい仕事ができたり、雇用が生まれたりする可能性が高まります。
だからこそ、こうした部分まで無理に手放す必要はありません。
むしろ、この部分に経営者の時間をもっと使えるようにするために、「それ以外の仕事」を整理していくことが大切です。
② 判断は必要だけれど、作業は任せられる仕事
次に二つ目は、経営者の判断は必要だけれど、そこに至るまでの作業すべてを経営者がする必要はない仕事です。
具体的には、以下のような業務が挙げられます。
| ・SNS ・採用 ・顧客対応 ・資料作成 ・広報 |
大きな会社では、広報部、経理部、人事部など、それぞれ役割が分かれています。
でも、小さな会社では、それらの役割をすべて社長が持っていることも珍しくありません。
少しずつ仕組みをつくることで手放せる部分です。
SNSを例にすると、
| 「こういうことを発信していきたい」 「こういう言葉は使いたくない」 「この世界観は大切にしたい」 |
こういった「判断基準」は、経営者自身が持っておく。
ですが、実際に投稿を作成するところまで、すべて経営者がやらなければならないわけではありません。
「判断すること」と「作業すること」を切り分ける。
こう考える事で、手放せる業務が多く見つかります。
③ 判断から全て任せられる仕事
そして三つ目が、作業だけではなく、判断から全て任せられる仕事です。
具体的には、以下のような業務が挙げられます。
| ・定型的な予約管理 ・決められた金額の請求書発行 ・入力作業 ・情報の更新 ・在庫確認 ・毎月決まって行う確認作業 |
すでにルールやフローが決まっていて、「Aの場合はBをする」といった基準を設定できる仕事は、毎回、経営者自身が判断しなくても、運営できるようになります。
以前の記事にも書いた「頭の中のタスクごと手放す」ことができる仕事です。
作業を手放すだけではなく、
「あれ、やったかな」
「今日確認しなきゃ」
と思い出すことからも離れていく。
私は、この③が増えていくほど、経営者の頭の中に少しずつ「余白」が生まれていくと考えています。
業務整理に必要な視点
では、②や③の仕事を実際に手放すとき、どのように進めればいいのでしょうか。
ここで大切なのが、
「何の業務を手放すか」だけで考えないことです。
例えば、
「Instagram投稿を手放したい」
とします。
一見すると、一つの仕事のように感じられます。
でも、Instagram投稿という仕事の中身を細かく整理してみると、
| ・方向性の検討 ・月間の投稿スケジュール作成 ・企画 ・素材集め ・画像選び ・画像制作 ・文章作成 ・内容チェック ・投稿作業 ・コメント/DM対応 ・数字の分析 ・次の投稿の改善 |
このように、数多くの仕事が詰まっています。
上記の話からお伝えしたいのは、「Instagramを任せる・任せない」といった二択では決められないということです。
どのラインまで自分が持つ必要があるか
例えば、ブランディングをとても大切にしている事業なら、
| ・企画は任せる ・画像制作も任せる ・キャプション作成も任せる ・でも、最後の確認だけは経営者がする |
という形でもいいのです。
すでにブランドの方向性や判断基準がしっかり決まっていて、
「この範囲なら任せても大丈夫」
という状態になっているのであれば、企画から投稿まで任せることもできるかもしれません。
どちらが正しいということではありません。
大切なのは、
「この業務のどのラインまでを、自分が持っておく必要があるのか?」
ということを考えることです。
この部分が明確になると、仕事はぐっと手放しやすくなります。
大切なのは「境界線」を引くこと
仕事を手放すというと、
「全部任せなければいけない」
と感じる方もいるかもしれません。
でも、私はそうは考えていません。
「経営者が持っておくべきところ」は、きちんと自分で持っておいた方がいい。
その会社だからこその判断。
その人だからこそ分かる感覚。
会社として大切にしていること。
そうした部分まで、無理に手放す必要はありません。
「全部自分でやる」か「全部外注する」か、といった二択ではなく、
どこまでを自分が持って、どこから先を任せるのか。
その境界線を把握し、引いておくことが大切です。
その「線引き」からサポートします
ミギアシのサポートでは、
最初から「これは手放しましょう」と決めるわけではありません。
まず、経営者の方のお話を伺います。
| ・この事業で何を大切にしているのか。 ・これからどこへ向かいたいのか。 ・どの仕事に時間を使いたいのか。 ・逆に、今どんな仕事に時間を取られているのか。 |
そして、一つひとつの業務を見ながら、
| ①経営者が持っておく仕事 ②判断基準を明確にして、作業は手放す仕事 ③完全に任せる仕事 |
ご自身の境界線を見つけるところから、サポートしていきます。
先ほど例に挙げた「Instagram投稿」という仕事でも、「どの部分まで任せられるか」という基準は会社によって全く違います。
「他の人も外注しているから」という理由で行き当たりばったりに外注しても、思ったような結果は得られません。
「自分は何に時間とエネルギーを使うべきなのか」という部分を明確にしてから、仕事を整理していくことが大切です。
初めの一歩は「残す仕事」を決めること
もし「何から手放したらいいか分からない」と思っているのなら、まず、以下の基準で考えてみましょう。
| ・これは経営者として、自分でやりたい ・これは私がやる意味がある |
次に、上記で思いついた仕事以外の業務を、
| ・判断は自分がするけれど、作業は任せられないか? ・判断から全て任せられないか? |
と分類してみましょう。
そうすると、「自分がやらなければ」と思っていた仕事の中にも、手放せる部分が少しずつ見えてきます。
手放すことはあくまで手段であり、目的ではありません。
「経営者にしかできない仕事をするために、何を残して、何を任せるのかを決める」こと。
それが上手に仕事を手放して、事業を前に進めるための最初の一歩です。
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