
仕事を誰かに任せようと思ったとき、
「まず、マニュアルを作らないと」
と思っていませんか?
| 「Notionの体裁を整えて、 業務フローを整理して、 手順を書き出して、 必要なら動画も撮って。 誰かに渡すのはその後だ…」 |
実際、経営者の方とお話ししていると、
「外注したいんですけど、まだマニュアルができていなくて」
「一度、私の方で整理してからお渡ししますね」
といったお声をよく頂きます。
そう聞くたびに心配になるのです。
「仕事を手放すために、さらに仕事が増えていないだろうか」と。
「仕組み化」とは「きれいなマニュアルを作ること」ではないからです。
何のための仕組み化なのか、考える
仕組み化の目的は、マニュアルを完成させることではありません。
私が考える仕組み化の目的は、
「経営者がいちいち考えたり判断したりしなくても、仕事がある一定の基準で進んでいく状態をつくること」です。
例えば、予約変更の対応をスタッフに任せたとします。
実際にお客様とやりとりするのはスタッフです。
でも、そのたびに、
| 「この場合はどうしますか?」 「今回は変更料をいただきますか?」 「このお客様にはどう対応しますか?」 |
と、経営者に確認依頼が来たらどうでしょうか。
これでは、作業自体は手放せていても、判断はすべて経営者のまま。
つまり、手は空いたけれど、頭は空いていない」状態です。
以前の記事で「経営者が本当に手放したいのは、作業ではなく頭の中のタスクなのではないか」という話を書きましたが、まさにその状態です。
予約管理という仕事へ常に意識を向けている―。
それでは、本当の意味で仕事を手放したことにはなりません。
マニュアルがあるのにスムーズにいかない理由
例えばマニュアルに、
「予約変更の場合は○○してください」
と書いてあったとします。
通常の場合なら、それで対応できるでしょう。
でも実際の仕事では、
| ・当日の変更だったら? ・何度も来てくださっているお客様だったら? ・こちら側の都合による変更だったら? |
といったイレギュラーが、必ず出てきます。
そのたびに、
「社長、これどうしますか?」
と聞くしかない状態になれば、
どれだけきれいなマニュアルがあっても、結局仕事は経営者のところへ戻ってきます。
だから必要なのは、
「どう作業するか」だけではなく、「どう判断するか」。
私は、ここまで整理されて初めて「仕組み」になるものだと思います。
仕組み化で決める4つの基準
では、実際に何を整理すればいいのか。
ミギアシでは、大きく4つの基準に分けて考えていきます。
1.誰がやるのか
まず、担当者を決めます。
誰がこの仕事を持つのか。
ここが曖昧だと、
「誰かがやってくれていると思っていた」
が起こります。
2.どこまで任せるのか
次に、任せる範囲です。
手を動かす「作業」だけを任せるのか。
ある程度の「判断」まで任せるのか。
この境界線を決めます。
3.何を基準に判断するのか
そして、
「この場合は、こうする」
という判断基準を決めます。
ここがとても重要です。
経営者が普段、無意識に判断している基準を少しずつ外に出していきます。
4.どんなときに経営者へ戻すのか
そして最後に、
「この条件に当てはまったときだけ、私に確認してください」
というラインを決めます。
私は、何でもスタッフだけで判断できる状態にする必要はないと思っています。
判断に困っているのに、
「社長には聞いてはいけない」
となってしまえば、その先のお客様にご迷惑をかける可能性もあります。
だからこそ、経営者が判断すべきことだけが、経営者のところに戻ってくる状態をつくることが大切です。
「分からなかったら社長へ」の盲点
小さな会社では、
「分からなかったら社長に聞こう」
が一番早かったりします。
最初、それでも仕事は回ります。
ですが、関わる人が5人になったらどうでしょう。
1人から1日1回、「これ、どうしますか?」
と連絡が来るだけでも、社長には1日5回の確認が入ります。
10人なら10回です。
社長自身はその作業をしていない。
それなのに1日中、
| 「これはOK」 「これはこうしてください」 「これは一度確認します」 |
と判断を続けている―。
これでは、作業を手放したのに、なぜか忙しさは変わりません。
作業を手放しても、判断がすべて社長に集まっていたら、社長の頭の中に空白はできません。
だから私は、仕組み化するときに「判断を整理すること」をとても大切にしています。
「なんとなく」の感覚を言語化する
そして、次が一番難しいところです。
経営者の方とお話ししていると、
「これは、なんとなくこうしています」
という事例が沢山あります。
全て一人で事業を回している間は、それでいいのです。
自分の頭の中に判断基準があるので、
「これはOK」
「これはちょっと違う」
「この場合はこうする」
と、感覚的に判断できます。
ですが、事業が大きくなって誰かに任せようと思った途端、その「なんとなく」では意図が伝わらなくなります。
例えば、「この確認は、だいたい3日前にしている」という業務があったとします。
ご本人にとっては当たり前すぎて、ルールだとすら思っていないかもしれません。
でも、第三者からすると、
| 「なぜ3日前なんですか?」 「毎回3日前ですか?」 「3日前が休日ならどうしますか?」 |
と確認したいことが出てきます。
そうやって質問していくと、
経営者ご自身も意識していなかった「判断の基準」が少しずつ見えてきます。
「基準を共有する」という作戦
以前、「自分のクローンがもう一人欲しい」と話す経営者の方が多いということもお伝えしました。
自分とまったく同じ人をつくることは、残念ながらできません。
ですが、自分の判断基準をチームに「共有する」ことはできます。
| 「私はここを大切にしています」 「こういう場合はこちらを優先します」 「ここまではスタッフ判断で大丈夫です」 「ここを超えたら私に確認してください」 |
そうした基準が共有されると、周りの人も少しずつ、経営者ご自身の考え方に近い判断ができるようになります。
これも、仕組み化において大切な部分です。
肝心なのは「マニュアルをつくる前」の段階
だからミギアシでは、
「マニュアルを作ってください。それを見ながら仕事をします」
というところから始めるわけではありません。
私たちが一緒に整理したいのは、
「マニュアルになる前の部分」です。
| 「この場合、普段どうされていますか?」 「これは毎回、経営者の確認が必要ですか?」 「ここまではスタッフが判断しても大丈夫ですか?」 「この場合だけ、経営者に戻す形でもよさそうですね」 |
そのように対話しながら、一つずつ境界線を見つけていきます。
以前の記事で、頭の中にある仕事を「絡まった糸」と表現しましたが、まさに、その糸を一本ずつほどいていくイメージです。
| ・誰がやるのか ・どこまで任せるのか ・何を基準に判断するのか ・どこから経営者に戻すのか |
そこまで整理できてから、必要であればマニュアルや業務フローという形にしていけばいいと考えています。
大切なのは、見た目を整えることではない
ミギアシでは、ツールを使ってまとめるのは、最後でいいと考えています。
Notion、Googleドキュメント、動画…
ケースによっては、最初は紙に手書きでもOKかもしれません。
大切なのは、「何にまとめるか」ではなく、「何を決めるか」。
ツールを使ってきれいに見た目を整えることが、仕組み化の目的ではありません。
「仕事を、経営者の頭の中だけで抱え込まない状態にすること」
それが本来の目的です。
仕組み化によって目指すゴール
仕組み化を進めることで目指すゴールは、
| ・経営者が判断しなくてもいいことを減らす ・本当に経営者が判断すべきことに時間とエネルギーを使えるようにする |
ということです。
| ・会社の未来を考える ・新しい商品を考える ・誰と仕事をするのかを考える ・次にどこへ向かうのかを決める |
こういったことを考え、行動に移すことに、経営者の方の時間とエネルギーを使っていただくことが目的です。
だから、仕事を手放したいと思ったとき、最初からきれいなマニュアルを作る必要は全くありません。
まずはじめに、
「私は毎日、何を判断しているんだろう?」
ということを考えてみてください。
その中には、本当は経営者が判断しなくてもいいことが、いくつも隠れているかもしれません。
次に、下記のように役割分担の境界線を見つけていきましょう。
| ・誰に何を任せるのか ・どこまで任せるのか ・そして、どこから自分が判断するのか |
そして、それらの境界線・基準を目に見える形にして、担当者間で共有しましょう。
この手順を踏むことで、「仕組み化」が本来の効果を発揮し、経営者の方の時間を創り出すことへとつながるのです。
ミギアシでは、経営者の方のお話をじっくりと伺い、業務整理を1から丁寧にお手伝いさせていただきます。
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